カテゴリ:不動産お役立ちコラム / 更新日付:2024/11/25 13:21 / 投稿日付:2024/11/25 13:21
空き家が近隣に与える影響:家の価格が3%下がることも?
空き家を放置すると、様々なリスクがあることはご存知でしょうか?過去の記事でも、倒壊の危険性や景観の悪化、犯罪の温床化といったリスクについて解説してきました(実家は大丈夫?放置すると危険な「特定空き家」問題とは)。今回はさらに、空き家が近隣の住宅価格に与える経済的影響について、具体的な数値を交えて解説します。
空き家が価格に影響を与えるメカニズム
近年の研究によると、空き家を長期間放置すると、周辺の住宅の取引価格が下がる「負の外部性」という現象が確認されています。「負の外部性」とは、ある人の行動が、その人以外の第三者にマイナスの影響を与えることを指します。この場合、空き家の所有者の行動が、近隣住民の資産価値にマイナスの影響を与えているということです。
具体的には、ある研究では、50m以内に長期空き家が増えるごとに、周辺住宅の価格が約3%下がるという結果が出ています(※1)。平均的な住宅価格を2,300万円と仮定すると、3%の低下は約70万円もの損失に相当します。
なぜ空き家は近隣の住宅価格に影響を与えるのか?
空き家が価格に影響を与える主な原因は以下の2つが考えられます。
- 景観の悪化: 雑草が生い茂ったり、建物が老朽化することで景観が悪化し、周辺の住宅の魅力を低下させます。
- 不安感の増大: 空き家は防犯上の不安や、街のイメージ低下につながるという不安を増大させ、住宅需要を冷え込ませる可能性があります。
空き家の影響を受けやすい地域
特に、普段から空き家が少ない地域では、新しくできた空き家がより目立ち、悪影響が大きくなる傾向があります。また、空き家の期間が長くなるほど、価格への影響も大きくなるようです。1~2年程度の短期的な空き家では影響は見られませんが、3年以上放置された空き家では、近隣住宅の価格低下が見られるという研究結果もあります(※1)。
空き家問題への対策
このような空き家の負の外部性を軽減するためには、早急な対策が必要です。名古屋市では、条例に基づいた対策や補助金制度、空き家バンクなどを活用した様々な対策が用意されています(名古屋市の空き家対策についてはこちら)。所有者には適切な管理を促し、活用が難しい場合は売却、賃貸、解体などの適切な処分を検討することが重要です。相続した空き家の売却には、一定の条件を満たせば税制優遇措置が適用される場合もあります。過去に当事務所でサポートした事例もございますので、参考にしてください。
まとめ:空き家問題は早期対応が重要
空き家は放置することで、近隣の住宅価格に悪影響を与える可能性があります。「負の外部性」を通じて、周辺環境の悪化や不安感の増大を招き、近隣住民に経済的な損失をもたらす可能性があります。空き家問題でお困りの方は、お早めに専門家にご相談ください。名古屋市・長久手市・日進市にお住まいの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。無料相談も実施しております。
※1 鈴木, 樋野, 武藤 (2021) 「長期空き家の外部効果の測定-神奈川県横須賀市を対象に-」 RETIO. NO.124 2022年冬号